イラクの人々へ、人質釈放有難う!


 
  
 昨晩0時からハンストに入り、目が覚めてTVを入れたら、状況は大きく変わっていました。3人の日本人が、イラクの人々の英知と人間への愛と信頼にあふれた声明と共に、釈放されることになったのです。

 まずこのことを、ストレートに喜びたいと思います。そして、人質解放のシナリオが、昨晩、私たちが「ガンジーの会からのメッセージ」に緊急アッピールとして提案した方策に沿って行われたこと、特に3番目の提案、すなわち「自衛隊撤退を日本人の手にゆだねねる」という声明を公にしたうえで無条件解放することになったことを喜びたいと思います。

 実は、昨晩、あのアッピールを書き上げ、私たちのホーム・ページにアップした後、ひどく無力感に囚われました。「暴力」の連鎖を断ち切る上で、そして自衛隊をイラクから撤退させる上で、最も平和的で現実的と思われる方法を提案しながら、私たちのアイディアが、3人を拘束する武装グループに届く手立てがない、そのことに対する無力感に苛まれたのです。焦りにも似た気持ちで香取氏に電話をすると、アルジャジーラが最近東京支局をオープンしたはずだから、英文の手紙を送ったらどうかというアドヴァイス。そこでひらめいたのが、静岡県の川根町から私たちの運動に発起人として関わってくれている奥田恵二氏の力を借りること。ニューヨーク生活20年を越え、私が知る限り、日本人で最も英語を読み、英語を書き、話す能力を持っておられる方です。早速、電話を入れ、メッセージを転送し、英文の翻訳に取り掛かってもらう一方、ホーム・ページ管理人の山下さんにもメールを入れ、英文翻訳ができ次第、アルジャージーラーを筆頭に、ニューヨーク・タイムズ、ワシントンポスト、タイムズ、フィガロ紙など、世界の主要マスコミに送信するため、待機をお願いしました。そして、今朝起きてみたら、Eメールに山下さんから、アルージャジーラーやニューヨーク・タイムズ、フィガロ紙などのアドレスを知らせるメールが次々と入っていました。つまり、私たちのメッセージを世界に向けて発信できる寸前まで準備が進んだ段階で、事態が急変し、私たちが望んだ方向で問題が解決したことになります。

 私は、今回、武装グループの方々が、宗教指導者のアドバイスを受け入れ、「憎悪」の鎖を断ち切り、人間の英知と愛の精神を蘇らせ、「非暴力」の精神に基づいて人質を解放してくれたことに対して、心から感謝の意を表明したいと思います。 ブッシュ大統領に象徴される今のアメリカ、そしてそのアメリカに「忠犬ポチ公」よろしく付いていくだけの小泉首相に一番欠けているのは、この人間としての愛と尊厳性と「許す」精神ではないでしょうか?

 私たちは、この問題が「非暴力」的方法によって解決されることを求めて、「ハンスト・ウィークエンド」を設けました。そして、発起人、一般参加者を問わず、多くの方々がハンストに参加してくれました。 特に昨晩0時からは、ハンスト・リレー・マラソンが始まって以来初めて、発起人全員と一般参加者が一体となって24時間ストに入りました。 そうした「義」の行いと祈りが、イラクの人々に通じたことを喜びたいと思います。 いえ、通じたと言うのは僭越かもしれません。私たちが必死で考え出したアイディアが、結果として彼らの考え出した解決法と合致していた、そのことを喜びたいと思います。つまり、私たちの「非暴力」による「市民の不承認」の抵抗運動が、根底においてイラクの人々とつながっていたと言うこと。 そのことを喜び、誇りにしたく思います。

 だがしかし、問題はこれで終わるものではありません。私たちは、自衛隊のイラク撤退を可急的速やかに撤退させるべく、小泉内閣に求め、それでも撤退を認めようとしないならば、この傲慢不遜な内閣を打倒・退陣させるために、あらゆる方法によって「ノー」を突きつけていく責務を背負ったことになります。

 今回の事件の解決のされ方を見ていて、私は、私たちの運動の目的と形態、そして主張が間違っていなかったことを改めて強く認識しました。しかし、運動が内輪に閉じ、仲間内だけで「間違ってなかった。正しかった!」と喜び合っているだけでは、自己満足、あるいはマスターベーションの域を出るものではありません。 その意味でも、私たちの運動をより広く開かれた場に解放し、たとえ間接的ではあれ、イラクの復興支援のため少しでも寄与していけるよう、私たちのメッセージを、今後、外の世界にに向けてより積極的に発信していきたく思っています。 そのためにも、皆様の一層の協力・支援をお願い申し上げる次第です。

 最後にイラクの人々に一言。 三人の日本人を解放し、「武力」によらない解決の方法を世界に提示してくれて本当に有難う。 私たちはこの恩義を決して忘れないでしょう。

 
2004年4月11日                   : 末延芳晴 



     

  
                                            

 

  a hunger strike reray marathon