なぜ自衛隊のイラク派遣に反対なのか
香取俊介
アメリカの民主主義には見習うべき点が数多くありますが、グローバリゼーションという美名のもと、アメリカ的価値観を世界に押し付けようとする政策が、ますます露骨になっています。
僅差でアメリカ大統領に選ばれたブッシュ政権になってから、圧倒的に強大な軍事力を背景に、その傾向を強めています。
なぜテロが頻発するのか。その根本のところを解決しない限り、力で抑えつけるというやり方は、いたずらにテロを拡散させるだけです。
ブッシュ政策の背景には、石油産業、軍需産業の思惑や利権が見え隠れしています。
「大量破壊兵器」など未だに発見されず、そもそもアメリカのイラク攻撃は国際法から見て疑義のあるやり方ですが、最近はブッシュ政権の元幹部からも「ブッシュは大統領当選直後からイラク攻撃を企図していた」など、「戦争の大義」への疑義が出されています。
そんな「大義」や「正当性」のない戦争に、小泉政権は積極的に賛意をしめし、「非戦闘地域」などという虚構をつくりだして、どう考えても憲法違反の自衛隊派遣を性急に決めてしまいました。
「日米同盟」が大事で、それが「日本の国益」などといっていますが、果たしてそうなのか。
経済官僚や政府による数々の政策の失敗が、現在の日本の停滞、モラルの荒廃をつくりだした元凶ですが、彼らは失敗の責任をとらず、アメリカに寄り添い、従属することによって、打開をはかろうとしています。
「先進国」の中では、日本は中東に独自のスタンスを築いてきています。
このスタンスを最大限に利用することこそが、長い目で見て「国益」になるはずです。
なし崩し的に軍隊を海外に派遣することが、いかに国益を損ない亡国につながるか、日本はかつて「満州事変」などで歴史の教訓をいたいほど得ているはずなのに、またも愚を犯そうとしている。
政策の重大な変更に対して国民への「説明責任」を果たせないまま、数の力をたのんで強行しようとしている小泉政権。
「道路公団改革」ひとつとっても、まやかしで「既得権益層」を喜ばすだけです。
「個人情報保護法」など言論の自由を統制する動きも着々と進んでいます。
「言論の自由」「異なった価値観を認め、これと共生していくこと」「ルールの尊重」「自由環境の保護」・・・・・・・これからが今後の人類が尊重していくべき柱だと思いますが、ブッシュ政権とこれに追従する小泉政権のやり方は、これらの流れに逆行するものです。
将来の日本に禍根を残さないためにも、ブッシュ政権におもねったイラク派遣に強くノーをいいたい。
ネオコンを基盤にした「ブッシュ政権イコール・アメリカ」では必ずしもないことに、日本人は気づくべきです。
2004年1月26日
a hunger strike reray marathon